今週は、休薬中なので仕事に集中できる。しかし、2007年8月に抗がん剤を始める前に比べれば、仕事の能力は半分くらいだと感じる。もともと残業はあまりしなくても、5-6個の仕事を同時進行で片付けることができたのが、現在は同時にできるのは2つくらい。
それ以上になると、ミスしたり、忘れたりが多くなる。重要な会議や書類提出の締切を全く忘れたりして、何回か冷や汗をかいた。同僚は事情を理解していて、再確認を入れてくれたりして助けてくれるので、なんとかなっている。元来忘れっぽいのに、ミスを全て「抗がん剤の副作用」のせいにしている気もするんだが。
そんな時に見つけたのが、2週に一回送られる
海外癌医療情報リファレンス・ダイジェストの
NCI Cancer Bulletin2009年3月24日号(Volume 6 / Number 6)の記事。自分の理解のためにメモ。(正しい内容は本文参照)
-----
翻訳:
クローズアップ「ケモブレインのメカニズムについて考察する」原文:
Delving Into Possible Mechanisms for Chemobrainケモブレインとは、がんやがん治療に伴う認知的変化 cognitive changes。
集中力、記憶、マルチタスク、計画能力などに困難が生ずる。
通常、化学療法中に生じ、治療終了後も約20%継続。
Ahles TAらによる研究、
The relationship of APOE genotype to neuropsychological performance in long-term cancer survivors treated with standard dose chemotherapy.によると、
乳がんとリンパ腫の長期サバイバー80人。、最低でも1つのε4アレル(対立遺伝子)を保有する患者は持たない被験者に比べて、視覚的記憶と空間能力の標準検査スコアが有意に低く、精神運動機能スコアも低い傾向。化学療法によって損傷したDNAを修理する細胞の能力が低下していると、ケモブレインのリスクが高いという仮説。
Dr. Patricia Ganzの研究
免疫システムを管理する遺伝子多型によってケモブレインがおきやすくなる。がん治療は炎症を増加、炎症は治療後も消散しないことがある。炎症とがん関連の疲労に関わるインターロイキン-1とインターロイキン-6遺伝子の特定の一塩基変異多型と、治療後の疲労が関連。免疫調整の乱れが認知障害の発症に関連しているかどうかを調査中。
中枢神経系の刺激薬は認知障害を抑制する可能性。
この記事はケモブレイン研究の紹介と共に、
・最初にケモブレインを特定し、命名したのが乳がん患者。
・ケモブレインの一番大変な点は、「元気に見えるが頭が働いていない」ことが理解されない。
・ケモブレインが提示する医療の課題は、患者からの報告が取り上げられないこと。
ということから、患者からの問題の報告とそれを医療側が取り上ることが重要だと言っている。
-----
ケモブレインに興味が出てきたので、いつもの
TNBCF Resources & Tipsを"Chemobrain"で検索すると、たくさん見つかる。
Chemo Brainなどのトピが立っていて、多くの体験が寄せられている。マルチタスクタイプの人は特にその影響を強く感じている様子。化学療法の大きなリスクの一つとして認識しておく必要がある。
関連文献
(1)
CancerConsultant.comの化学療法に関する項目の筆頭に
Chemo Brain, By Beverly Burmeier
これについては、また次回。
(2)
BreastCancer.org >
Treatment & Side Effects >
Planning Your Treatment >
Ask-the-Expert Conferences: Treatment Issues >
Managing Chemo Brain これは、患者と医師のQ&A。ケモブレインへの不安が読み取れる。
これからは何かあったら、「ケモブレインかも・・・」と考えてみよう。(やっぱり新語好き)
theme : 医療・病気・治療
genre : 心と身体
tag : 乳乳がん 化学療法 副作用 ケモブレイン chemobrain chemo brain 集中力 記憶力