抗がん剤Capecitabin(Xeloda)で疲れやすいので、週末はずっと読書、かなり内容が偏った。
遺伝子工学のポピュラーサイエンス本
(1) 八代 嘉美
iPS細胞 世紀の発見が医療を変える ◎
新書で薄い割りに中身が詰まっている。iPS細胞とその再生医療応用の話は少なめだが、遺伝子に関する初歩から専門に至るまで、わかりやすく説明。まだ大学院博士課程在学中という著者がよく工夫している。
「
エスカルコ゛・サイエンス 再生医療のしくみ」も読んでみよう。
(2) ケヴィン・デイヴィーズ
ゲノムを支配する者は誰か ○
ゲノム解読の熾烈な解読競争の話。遺伝子学者の二人の宿命の対決。
私企業セレーラのクレイグ・ベンター vs 公的陣営フランシス・コリンズ
私にとっては専門外の世界なので手に汗は握らなかったが、莫大なお金が絡むと研究も面白そう。
(3) 栃内 新
進化から見た病気 「ダーウィン医学」のすすめ (ブルーバックス) △
ネシー"
Why We Get Sick?"(和訳
病気はなぜ、あるのか)の抜粋という感じで、ダーウィン医学(進化医学)入門としては手軽で良いが、新しいことはわずか。"Why We Get Sick?"を読んでいたら不要。ただ、原著も和訳も読みにくいから、この本で読んで入門はおしまいというのも良いかも。
英国文学
(4)
ウッドハウス ジーヴスと封建精神 ○
万能の執事ジーヴスと頼りない主人のバーティ。20世紀前半の英国上流社会ややブラックなユーモア小説。シリーズとしてはもう第9弾。
国書刊行会のサイトによると"《モンティ・パイソン》や《ミスター・ビーン》の源泉"ってあるが、本当かな。最近ウッドハウスの新刊がどっと出たので、どれを読んでどれを読んでないかがわからなくなってきた。
今までの国書刊行会のジーヴスシリーズは
比類なきジーヴス
よしきた、ジーヴス
それゆけ、ジーブス
ウースター家の掟
でかした、ジーブス
サンキュー、ジーブス
ジーブスと朝のよろこび
ジーブスと恋の季節
次の第10回は『ジーヴスの帰還』(2009年8月刊行予定)。まだまだ続きそう。別の出版社に「ジーブスの事件簿」なんていう本もあるけど、このシリーズとかなり重なっている様子。
(5)
ダフネ デュ・モーリア 鳥―デュ・モーリア傑作集 ◎
あの、「レベッカ」のデュ・モーリア。(私の頭の中で、「レベッカ」、「ジェーン・エアー」、「アッシャー家の崩壊」がミックス、前妻がレベッカ、孤児院出身の後妻がジェーン、でも最後にレベッカの乳母が放火してアッシャー家が崩壊してる)ヒッチッコックの映画「鳥」の原作になった短編など、読み直したらすごく面白い。50年以上前の短編が多いが、非常にSFやファンタジー色が濃くて雰囲気が独特。
塚本邦雄がデュ・モーリアは岡本かの子やユルスナールと並ぶ女怪と評したと解説にあって納得。他の本や原書も読んでみよう。
(6)
サマセット・モームSomerset Maugham
モーム短篇選〈上〉(下) ○
英語クラスの短編集の常連モーム、英語も明晰だし、話も皮肉とユーモアがあって面白い。この2冊は晩年の作品が多く、著者の年を経て人に対して優しくなったまなざしが感じられる。モーム短篇選(下)の「サナトリウム」は肺結核の患者たちの日常の話(モームは結核経験あり)だが、自分が病気になったせいか新たな感慨を覚える。しかし、この作者の姓名のスペリングは本当に厄介。
週末、休んだせいか今日は倦怠感が弱まり、代わりに足裏が痛くなってきた。
あと4日。
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