治療のため止めていた仕事や活動に徐々に復帰し、今年も年末までずっと忙しい。でも無理せず、6時間は眠ろうとしてみたが、週に1-2回は寝るのが午前2時を過ぎてしまい、反省。
久しぶりに、ブログの下書きのまま放ってあるものを数えたら20を超えていた。古いものからお蔵出し。以下は4月のゴールデンウィーク前に書いたメモ。
「
時に癒し、しばしば和らげ、常に慰む」
"Guérir quelquefois, soulager souvent, consoler toujours."
(原文・フランス語)
"Cure occasionally, relieve often, console always."
(英訳 Wikipediaより)
初めてこの言葉を知ったのは、梶田昭著 『
医学の歴史』(講談社学術文庫、2003年)。
結核治療・サナトリウム運動で有名な
エドワード・リビングストン・トルード Edward Livingston Trudeauが患者から贈られた台座に
"Guérir quelquefois, soulager souvent, consoler toujours."
と刻まれているそうである。(→
Brit. med.J7., 1967, 4, 47-48)
これは16世紀のフランスの外科医
アンブローズ・パレの言葉とされている。
ただし、
Wikipedia英語版にパレの言葉として引用があるが、
Wikipediaフランス語版にはないので怪しい? どこかギリシャ・ローマあたりに語源がある?
なお、
「
私が包帯を巻き、神が治す」
"Je le pansai et Dieu le guérit."
"I dressed him, and God healed him."
は両方に記載されている。
医療に期待されるのは、ある時は病を治し、でもそれより多く辛い症状を和らげてくれ、そして常に心を慰めてくれること。患者を治せない時でも、辛い症状を和らげ、心を慰めるものでありたいという医療従事者の謙遜な気持ちと心得なのだろうが、医療を受ける側としても、とても心なごまされるよい言葉だと思う。
梶田昭は「
医学の歴史」の中で、古代から現代に至る医学の歴史を書きながら、患者の症状を和らげ慰める事が主だった医療が、治すことのみに価値観を置く医学・科学に向かっていく様子を描いている。
『医学の歴史』(→
目次)という本、歴史書というより、医療に対する啓蒙書のようで面白かった。梶田昭氏は病理医(→
著書)、この本が出版される前に亡くなられている。
それでは、7時間睡眠を目指し、おやすみなさい。でも、面白い本の山が枕元に・・・。
theme : 医療・病気・治療
genre : 心と身体
tag : エドワード・リビングストン・トルード アンブローズ・パレ 癒す 和らげる 慰める