今週は天候が乱高下、疲れが出てきて、趣味の勉強が沈滞ぎみ。ここで言う趣味の勉強とは、主に生物・医学的な自分に関する勉強。
なんで、こんな勉強しているのか、もう一度思い起こす。
以前書いたが、3年前に人間ドックの超音波で乳房に腫瘍が見つかり、検査専門の乳腺外科に行き、そこの乳腺外科医にまず「乳がんについて、本などを読んで勉強して下さい」と言われた。過去にいろいろ病気をしたことはあるが、医師に「勉強して下さい」と言われたのは初めてだった。
その帰宅途中に図書館に寄り、がんや乳がん一般書に目を通す一方で、読んだのが
柳原和子 『がん患者学』Ⅰ、
Ⅱ、
Ⅲ。様々ながん患者の生き方と共に、がん治療に関わる医師、病院、医療システムの話。この本によって患者は病気について勉強しなくてはならないと強く感じた。
その翌年、腫瘍が急激に大きくなり乳がんが確定し、現在の病院に治療のため移った。確定するまでに時間があったので、かなり多くのがんや乳がんの本・ガイドラインを読んでいたが、わからないことばかり。『がん患者学』の影響もあって、もっと自分の病気や自分の体について知り、「プロの患者」になろうと、この時、自分に誓った。
医師、看護師、検査技師などいろいろな医療の専門家が、私を助けてくれる。プロの医療者として、それぞれの分野で深い知識と豊富な経験を持つ人々が、私を治そうと努力してくれる。それに対して私は患者として病気と治療について正しく理解し、きちんと食事をし、適度に休み、運動し、眠り、心身をできるだけ良い状態に保ち、治療の効果が十分に発揮されるようにする。
そのため私は自分のことを学び、自分についての専門家になる必要がある。「プロの患者」とは「自分の専門家」であると考えた。そして、私の狭い経験と知識でも、それを患者同士で共有することで何か役に立てばという気持ちもあった。
しかし、私は「プロの患者、自分の専門家」の誓いを、しばしば忘れる。
自分(ヒト)は余りにも大きなシステムで、トリプルネガティブ乳がんに限っても、勉強することは膨大にあり、疑問は次々に出てくる。患者としての自分の病気、障害、不具合から始まるヒトの勉強は、奥が深く、巾も広く、とても面白い。一種の実戦的学習 (On the Job Learning)、つまり病気を利用した学習法 (Trouble-based Learning)になっていて、実に効果的。
そして、
以前書いたがいろいろ勉強している内に、理系オタクの逆行癖や道草癖も出て、その勉強の面白さにはまり、「自分の専門家」という目的をきれいに忘れていた。ごめんなさい。
先日、脳腫瘍から職場復帰して10年の同僚と「プロの患者でありたい」と話し、また日本癌治療学会の
亢進症な生活のぷろぱさんの記事"ピンクリボンのスーザンさんとお話したこと"の「プロの患者」という言葉を見て、誓いを新たにする。
私の野望、「プロの患者、自分の専門家」。忘れないように。でも、また忘れちゃうかな。
theme : 病気と付き合いながらの生活
genre : 心と身体
tag : 乳がん 病気 プロの患者 自分の専門家 学習法 柳原和子 がん患者学